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2015年、当時の文部科学大臣である下村博文氏は、記者会見において「不登校は問題行動ではない。子どもたちの個性や多様性を尊重し、一人ひとりに寄り添った支援が必要だ」と発言しました。
そして2016年、文部科学省は、「不登校児童生徒等に対する支援の手引き」を改訂しました。この改訂では、不登校を単に問題視するのではなく、子どもたちの成長過程の一つとして捉え、個々の状況やニーズに合わせた支援を行うことが重要であると明記されました。
文部科学省が不登校を問題行動ではないと発言した根拠と背景は、複合的な要因が絡み合っており、一概に説明することは難しいですが、以下のような点が考えられます。
近年、不登校を取り巻く社会環境は大きく変化しています。かつて、不登校は問題視される傾向が強かったのですが、近年では不登校を経験したとしても、その後の人生で活躍する人も増えています。
また、多様な価値観が認められるようになり、不登校も一つの選択肢として捉えられるようになってきています。インフルエンサーの中には「学校なんか行かなくていい」という人までいます。
不登校の要因は、以前よりも多様化しています。学業への不安やいじめだけでなく、家庭環境や発達障害、起立性調節障害、SNSでのトラブルなどがあげられます。
また、コロナ禍の登校しない時期からうまく復帰できなくなったといった、さまざまな理由で不登校になる子どもが増えています。
近年、不登校児童生徒への支援体制が充実しています。フリースクールや適応指導教室などの設置が進み、不登校児童生徒が安心して学習できる環境が整ってきています。さらに多種多様な学習ニーズに合わせたスクールがどんどん開校し、好きなことにフォーカスした授業が受けられるようになってきました。
つまり、学校以外での教育を受けられる環境の選択肢が増えています。
近年、問題行動の捉え方も変化しています。著名人やインフルエンサーなどが発達障害だったというカミングアウトや、不登校だったということを発信するようになりました。そのおかげもあってか、以前はそういう問題行動を単に排除しようとする傾向が強かったのですが、そのような問題行動は将来において大きな問題ではないということが理解されてきました。
現在では問題行動そのものを敵視するのではなく、その背景にある原因を理解し子ども一人ひとりに寄り添った支援を行うことが重要であると考えられています。
文部科学省は、これらの変化を踏まえ、不登校を単に問題視するのではなく、子ども一人ひとりの状況やニーズに合わせた支援を行うことが重要であると判断しました。そして、不登校を問題行動と捉えるのではなく、子どもたちの成長過程の一つとして捉えるべきだという考え方を示したのです。
なお、文部科学省のこの発言は、必ずしもすべての不登校を肯定するものではありません。不登校には様々なケースがあり、特にいじめが原因などの早急な対応が必要な場合があるので見極めが必要です。
不登校児童生徒一人ひとりに寄り添い、適切な支援を行うことが重要です。
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